大正6年の創業、すでに100年近い歴史のある老舗のアイトスは、日系企業向けユニフォームの先駆者として日本の製造業の発展を根底から支え続けてきた。大阪本社を中心に、東京、今治、札幌などに国内拠点を構え、中国には1993年とかなり早い時期から進出し、当時では非常に珍しかった外資100%の縫製工場として上海愛依托斯時装有限公司を設立した。
上海愛依托斯時装有限公司(以下、第一工場)は創業より13年を経て、今や360人の従業員を擁し、日本輸出用と中国国内用、それぞれの定番商品と会社単位のオーダーを年間200万点生産している。 中国の国内メーカーはコスト削減のため、生産管理工程が少ない場合があると聞くが、アイトスは日系企業としての安心と信頼を守るため基本作業に手を抜かない。 生産に伴う各作業については、輸出用も国内販売用も全く同様である。 生産工程で通常より多く、3回検査を行うのも同様の理由だ。各10サイズ、5、6色展開と小ロット多品種によりアイテム数はのべ2万7千にも上るが、厳しい管理の下、日本と同レベルの品質を保っている。
この重圧のなか、同社を管理しているのが張君副総経理である。第一工場の創業以来、日本の本社で5年間修行し、3年前に上海に戻った。流暢な日本語だけでなく、日本人的なニュアンスやセンスが培われており、本社や営業所、日系企業のお客様とのスムーズなやりとりと柔軟性のある姿勢で工場の内外から絶大な支持を得ている。張副総経理に続くような優秀な人物を育成するため、毎年20人もの人数を日本へ研修として派遣し、上海の幹部生向けには日本語のレッスンを実施している。こうした努力が13年を経て実を結び、第一工場は日本人がほとんど介在しなくとも日本的な品質管理が可能になっている。
今年新たに稼動した第二工場は、最新鋭の設備と第一工場の3倍近い広さの敷地を備えている。最新設備のうちの1つであるフランス製レーザー裁断機は上海にたった1台しかないという貴重な設備だが、生地の端に「ほつれ」が出ないよう生地を焼き切るもので、クリーンルーム用無塵服の生産と同時に、電子部品の裁断などの業務を請け負うことも可能にした。さらに日本NCA製の最新検針機を3台導入しており、通常より広い60度の傾きで、より効果的な検針作業が可能だ。また現在、工場の前には大きな空き地が広がっているが、近い将来、生産工場に併設して流通・検品センターを置く予定であり、未来の市場ニーズを的確に見据えて対応していく準備がすでに始められている。
営業部は第一、第二工場の協力の下、中国人女性スタッフが中心となり、きめ細かな営業体制を構築している。中国国内内販はこれまで受注生産中心であったが来年度は一部の商品を定番商品として展開予定をしている。平瀬営業部長は「日本企業においてユニフォームとは企業のポリシーであり、会社と従業員の責任と権利を眼に見える形にするもの。中国も変わりつつありますが、日本のユニフォーム文化や日系ならではのこだわりを大切にしていきたい」と語る。具体的には中国メーカーでは追加発注をかけるとロットによって生地の色がかなり違うことも現実には多いが、アイトスでは色の安定性にこだわり、仕入先を厳選することで色差の問題を防いでいる。
最後に、新しく開発されたユニフォームを見せてもらった。「スイング・スリーブ」は腕の内側からわき腹までに一枚の布を用い、前後に動かしやすいラグラン袖と組み合わせて、立体構造で腕を動かしやすくしたものだ。以前は肩にヒダを付けて余裕を持たせていたが、機械に引っかかりやすく、作業しにくいなど不便な部分もあり、その点をさらに改良したものだ。「ターンポケット」はポケットの口に逆向きの玉ぶちが入っており、入れたモノが落ちにくく、またポケットに手を入れる癖を改善できると好評だ。
機能性・安全性とデザイン性を追及した商品は、移り変わりの激しい市場ニーズにしっかりと対応し、管理の良さは商品の良さにはっきりと現れている。老舗なりのこだわりと柔軟さの絶妙なバランスをとり、未来を見つめながら、アイトスはまた新たな歴史を刻んでいく。
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