貨物・船舶保険合算のマリン分野において日本でNo.1の三井住友海上は、中国がWTOに加盟した2001年、中国大陸初の営業拠点「上海支店」を開設。以来約7年間、直接保険を引き受けることのできる元受営業拠点として主に在中日系企業に対し、貨物保険、火災保険、賠償責任保険など、日本とほぼ同じサービスを提供してきた。2007年12月、上海の日系損保として初めて現地法人を設立し、輸送・荷役中の事故件数が毎年増加傾向にある状況に対しても、より細やかなサービスを提供している。中国国内の物流は陸上輸送が主流だ。国土が広く、各地の状態が激しく異なるため、輸送に関わる事故要因が非常に多い。営業部姚経理によれば、「霧の発生や工事により高速道路から下り、深夜に一般道を走行中、突然道があぜ道になり、脱輪。動きが取れなくなったところに周辺の住民による荷物の盗難に遭った」。これは中国在住のEMIDAS読者ならば、想像に難くないかもしれない。しかし、「『運転中、突然車から発火。荷物はもちろん、車ごと全焼』という事件が当社の引受けだけで最低でも年に数回は発生する」と聞けば、驚かずにはいられないだろう。事故の主な原因は、ブレーキやエンジンに欠陥があるなどの車両整備の悪さ。長時間長距離運転による疲労。運転手の経験不足。過積載、積み方や梱包の不具合から生じる荷物の落下や車両の横転。水はけが悪く、危険な高速道路など様々な要因が考えられる。また、中国の物流サービスは、業者によっては各省個別の免許であり、中国全土をカバーする会社がまだ少なく、各地の業者に頼らざるをえない。結果、長距離輸送に伴う車の乗り換えや荷物の積み替えの管理が難しいなど、物流会社をとりまく事情も大きな要因だ。
顧客が繰り返し遭遇する事故に対し、三井住友海上では物流会社の物流経路や梱包方式、盗難リスクなど、多方面からの事故削減策を提言している。昨年10月には広州市の特殊な事情に合わせた物流セミナーを開催。中国物流事情に関する資料の提供や保険・クレーム対応に関する勉強会も随時行っている。営業部森副経理曰く、事故の多い中国での保険のかけ方(付保)は「付保漏れ防止のため、輸送発生前に保険申し込みが必要な『スポット契約』ではなく、年間の輸送パターンを包括で補償し、後日実際の輸送量で保険料計算をする『オープンポリシー契約』が安全でリーズナブル」だそうだ。
細やかなサービスに加え、業界トップである同社最大の強みは、豊富な経験から培ったノウハウとネットワークにある。貨物保険には、主に輸出入に関する「外航貨物海上保険」、「国内運送保険」、「運送業者賠償責任保険(運賠)」の三種類があるが、輸出入の「外航貨物海上保険」は仕向地で発見されたクレーム対応を含み、グループ会社の世界的なネットワークが活用可能で全世界をカバー。さらに「国内運送保険」は提携アジャスター(保険査定人)のネットワークで中国全国をカバーする希少な存在だ。現地法人化を機に在中日系企業へのサービスの更なる向上を目指しながら、中国企業には同社の利用により得られる世界的な信用を積極的にアピールしていきたい考えだ。 |